母川回帰

ダウン症の人たちのためのプライベートアトリエ、元アトリエ・エレマン・プレザン東京代表、佐久間寛厚のブログです。日々の制作の場で人間の心と創造性の源を見つめています。

やっぱり凄い

バザーリアの講演録を読む。
今、色々ちょこまかした動きは目にするようになったけれど、やっぱりこれ位のスケールが無ければ、本質的なところはビクともしないな、と感じている。この時代にここまで行っていた人がいる。そう言う圧倒的なビジョンがある。全面的に賛成かと言えば、僕には経験から見て無数に異論がある。でも、それはおいておくとして、1番核心と言えるのは、バザーリアが精神障害を個人や特定の領域から社会全体の問題へシフトさせたこと。現実としてこれを実現させた功績は大きい。これはまだまだ追いついていない、未来の思想でもある。この社会で生きられない人がいたなら、その誰かや、家族や、特定の団体や、専門家と呼ばれる人達の責任なのではない。それはそう言う漏れてしまう人達を生み出している社会そのものの責任。みんなが自分たちのこととして、向き合い、現実として解決して行くべき問題。この問いは他の全ての障害や、社会的弱者やマイノリティ全てに言えること。
それでも、やっぱりもう一つは言わなければならない。この社会だけが全てではない、この社会の中でだけ全てが解消されるべきならそれはまた新たな抑圧や支配の元になりはしないか。もっと違う在り方や可能性だってあり得る。

 


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子供たちに

志摩で地元の子ども達のアトリエを始めた。これからいっぱい来て欲しいな。まさかこんな感じで始めることになるとは、正直なところ思ってもみなかった。ダウンズタウンプロジェクトを進めて行くため、まだまだペースは分からないけれど、よし子が動ける体制をと考えてきた。子供達も居るから、理想は子育てしながら、この地で仕事すること。時間の問題やら色々、紆余曲折の末に、子どものアトリエを、と言う流れで。でも、ふと想うと、ずっとずっと、いつかは子どもと関わりたいと思っていた。若い頃には子供達の合宿とか色んな形で関わっていて、今の仕事のスタイルが確立してからは近くて遠い世界となっていた。子どもに関わる取材とか講演はやって来たけれど、似て非なるジャンルだから。だからいつかはもう1度子どもと関わる仕事をしたい、と言う想いはずっとあった。その昔、子ども達の合宿で見ていた頃、それぞれ複雑な問題を抱えて集まっていた子供達だったので、数日の間でもぶつかり合いやトラブルの連続で、それでもそうすることでしか、まだコミュニケーションすらとる方法を持たなかった子達が、寝食を共にして、一緒に働いて、夜空を見に行ったり、川の音を聴いているときに、良かった、こんな瞬間があって、と思えた。言葉に出来ない子は昼間消化できなかった想いを、夜行動で示したり。あるときは、寝ていると耳がざわざわして、起きて見ると虫が耳に入れられてて、こうやってしか不満を表せないのだな、って、また夜連れ出して話してみたり。これで変わるとか、変わったとか、将来とか、そう言うことではない。それよりこの今、少しでも自分の中で、楽しいとか、認められてるとか、嬉しいとか、そう言う気持ちを持って貰いたい、って。そう言う時間があったかなかったかで、違ってくるから。
結局、人は子どもの頃どんな風に過ごしていたのか、それで決まる。子どもの時間は誰しもに与えられているけれど、その時間は短い。そして、子どもが子どもとして過ごせる時間は、時代と共にどんどん少なくなっている。それは人間が育つためには危険な状況だと感じている。1度しかない、子どもの時代に、どんな時間を過ごすのか。そこで心に培われるべきは、人と世界への信頼感、自分と他人を愛せる感情。楽しい、心地良いを、肌で知ること。
僕自身も子供の頃はとても貧しく、毎日が安全とは言えない環境で育ったけれど、そこに何より仲間たちがいたこと、山や川や自然の近くに居たこと、沢山遊んだこと、祖母と出会えたこと、素敵な大人の背中を見られたこと、無数の景色、子供の時間で見てきた景色がどれほど支えになっているか知れない。どんなに困難を前にしても、この世界の豊かさ、生きていることの素晴らしさを疑ったことはない。それはあの子供時代があったからだと思っている。
悠太は相変わらず素敵な絵を描いた。これから沢山の子供達と出会えますように。

 


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男の子たち

郵便局に書類を出しに行く途中、普段見ない子供グループ数名が空き地でワイワイやっている。用事を済ませて帰りもまた会った、悪そうな子が走って来て横切る。こんちはーと、悪ガキと言ってもしっかり挨拶出来ている。後ろから今度はスピードも速くもう1人が走って来る。こんにちはー、とこの子もしっかり挨拶するなぁ、と思って微笑ましく、しかし、え、何か持ってたな、と振り返ると危なそうな棒を持って走っている。ちょいと様子を見届けるか、と後を追うも姿はもう見当たらない。色々探していると、棒を持っていた方の子がいる。棒はもう無い。けど、居るのは誰かの家の屋根の上だ。おーい。こんにちはー、とさっきと変わらず普通だ。そこ危ないぞ、屋根に薬塗ってあって滑るぞ、と言うと、あっ、やばっ、手貸して、だって。可愛いもんかなあ。男の子達は安全に育ってくれさえすれば良いですね。

なるべく怪我無く。

春休みの志摩アトリエ

春休みの制作体験のご案内です。

マンツーマンでよし子が対応します。

以下、一般社団法人ダウンズタウンプロジェクトFacebookより。

 

【 春休み体験制作のご案内】in志摩アトリエ
コロナの影響によりしばらく中止しておりましたアトリエ見学&制作を3月26日~再開致します。各回マンツーマン対応、1日2組まで(午前/午後)とさせて頂きます。必ず事前にご予約くださいますようお願い致します。🌸春休みオープンスケジュール 3/26,27,28,29,30,4/3,4,5,
参加費 8000円(材料費込)/2H
お申込みhttps://www.downstownproject.com/contact