母川回帰

ダウン症の人たちのためのプライベートアトリエ、元アトリエ・エレマン・プレザン東京代表、佐久間寛厚のブログです。日々の制作の場で人間の心と創造性の源を見つめています。

この場所で


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20年前、それまでの自分の全てだった場所と、家族よりも大切で一緒だった人達と別れ、僕は東京へやって来た。

 

やらなければならないことがあった。

果たさねばならない約束があった。

 

既に年老いていた師を説得するために、大学で勉強したい、そしてまた帰って来る、と言う話を作った。

もう2度と帰ることはないと、僕も師も知っていたけれど。

 

誰にも知られることのない、大きな使命を、壮大なテーマを前に、どこから手をつけるべきなのか、途方に暮れた。

 

歩き始めていたけれど、見てきた数々の場面を、託された無数の想いを、繋ぐべきバトンを渡す地点は遙か彼方だった。

 

ある日、街を歩いていて、ふと入ったある店舗で、嘗て出会い、人生の大切な場面を交差していった友人の仕事を目にした。

あの頃、語り合っていたことを、形にしている、仕事にしている、、それを見て、僕もやらなければ、約束を果たさなければ、と強く、思った。

 

2009年に多摩美術大学とアール・イマキュレ希望の原理展が行われた。そして、2014年の東京都美術館開催の楽園としての芸術展、そこで行われた展示、公開制作、記念講演会は、それまでの集大成となる内容だった。

世の中の理解はまだまだ追いついてはいない、と思っている。でも、1度行き切った場所には戻らない。

更に先へと歩いて来た。

 

2019年、6月から母川回帰シリーズ始動。

ライフワークとして、メインテーマとして。

今出会っている人達を前にして、来るべき場所に来たのだと実感している。

そこではあの頃、16で初めて場に立って、見て来たこと、託されたこと、いつかは人と共有する場所を創ると誓ったこと、そんな時間のことが次々と語られた。ここでまた過去の無数の場面と出会い、繋げることが出来た。大袈裟かも知れないが、ここへ来るためにこそ歩いて来た。

 

この小さな場から、また始まる。

 

2020年よりSNSでの発信を見直す中で、ブログもお知らせ、連絡、告知に絞ることとなる。これまで書いて来たこと、発信して来たことを、見直し、纏める仕事もある。

過去のデータを稲垣君が整理し始めてくれている。佐久間さん、8年前にもうこれ言ってますね、と最近色々教えてくれる。

 

今これらの言葉と向き合った時、何が見えて来るのか、そして、これからの10年、どうあるべきなのか、その答えはまた形にする。

本に纏まればベストかな、と考えている。

 

思えば2019年の母川回帰シリーズはまだプレと言う予定だった。始まって直ぐに本格化していったのは流れがあったこと、そして、来て下さる人達の熱意。2020年以降、更に更に進めて行きたい。

 

今年も残すところ、あと僅か。

アトリエでの制作の場もあと数回。

良い記憶と、命の高揚感と共に、2020年に繋げていきたい。

作家達とスタッフ達と、みんなと場に入る。

みんなが芯から、深い場所で繋がり、命を輝かせ、響き合う時間。その経験はいつまでも消えることは無い。

 

いよいよ月曜日、12月16日。

始まりの場所、中目黒の岩茶房での最後となるトーク。特別な時間に、きっとなります。

平日ですが、もしお時間がありましたら、初めての方、1度だけでも、来てみて、体験してみて下さい。

ご予約頂いたメンバーは皆さん、本当に素晴らしい方々です。お会い出来るのが楽しみです。皆さんとの出会いに感謝と共に、2019年の総決算となる内容でお話したいです。

 

よろしくお願い致します。