母川回帰

ダウン症の人たちのためのプライベートアトリエ、元アトリエ・エレマン・プレザン東京代表、佐久間寛厚のブログです。日々の制作の場で人間の心と創造性の源を見つめています。

命日

今日も仕事へ向かう。
昨年は鬼滅の刃が流行って、僕らも映画館へも行った。悠太と舞果がよく「親方さまが、、」と話すので、パパにもね、親方が居たんだよ、と話した。僕にも親方がいた。確かに僕らの仕事は鬼殺隊だった。人の心に潜み、荒れ狂う鬼との戦い。ただし、僕らは鬼を決して殺してはいけない。人の心の中にある鬼とどうやって共存していくのか、しかもそのバランスは一人一人全く違うから、それぞれのストーリーに入って、それぞれの中でしか出て来ない答えを見つけて行く。本日4月27日。僕らが親方と呼んだ宮嶋真一郎の命日。僕らにとって、宮嶋先生と呼ぶ人達は外の人達で、親方と呼ぶ人達が身内だった。もう10年近くも前になるけれど、幾つかの地方に連続で講演を行った際に、生前の親方を知る人達に出会った。何人も。そんな方達の話から聞く親方はとても新鮮で、親方がどれだけの人達に影響を与え、良い流れを作ったのか、これまで知らなかった一面を知った。いつかは宮嶋真一郎を本格的に語らなければならないと思っている。2年前、一緒にと連れ出してくれた方がいて、初めて親方のお墓を訪ねることが出来た。もし親方に出会っていなかったら、他の人達にも、大好きだったみんなにも出会うことはなかっただろう。全ての切っ掛けを創ってくれたと言って良い親方に、生きている間は1度も感謝の言葉を伝えられなかった。生意気だったのもあるけど、言葉ではなく、親方の示してくれた道を追求することで答えを出したかった。そして、何より親方との関係はそんな世の中の常識の範疇に入るのもではなかった。そんな関係で居させてくれた存在を決して忘れることはない。多様性、共存、循環、今の社会が要約気づき、取り組み出した課題の遙か先を歩き続け、実践してきた人のことを、真の意味で世に残す必要を感じている。合掌。