帰って来てくれた。
良かった。本当に良かった。
やっと再会出来た。
大変な状況を何度も乗り越えて、
また帰って来てくれた。
正直なところ、保護者の方との溝はまだ完全には埋まっていない。やはりこちらの方でも大事なことをご理解頂けていない、と言う思いもある。
最初の一枚だけは、僕にくっついて、離れずに仕上げた。安心しきって、2枚目からは脇目も振らずに一人で描いた。以前の筆の動きまではまだ戻ってはいないけど、なんと4枚も仕上げた。
セオリー通りならブランクもあるし、今日はそんなに枚数は描かないで行くところだけど、本人の気持ちと、今の状況と、流れを見極めて、進めた。
現場にマニュアルは通用しない。
いつでも人の心と生命の動きを見て、感じ取って、対話していく。
それにしても彼こそは、このアトリエを代表する作家だと思う。それは何故か。ここを帰る場所として認識しているから。帰る場所を持っている強さが、危機的な状況の中で最後の最後で、立ち上がれる力となる。
長年のストレスの結果、心は萎えてしまっていたから、今回はかなり心配していたし、この状況はまだまだ解決はしていないのだけど、最悪の結果は免れた。そして、今日のような制作が出来たことは、奇跡のようだし、本人の持つポテンシャルと、場の力の素晴らしさを証明している。
人を元気に出来てこそ場と言える。
帰る場所。
奥深いテーマです。
今お話していることそのままみたいです。