母川回帰

ダウン症の人たちのためのプライベートアトリエ、元アトリエ・エレマン・プレザン東京代表、佐久間寛厚のブログです。日々の制作の場で人間の心と創造性の源を見つめています。

帰って来てくれた。

良かった。本当に良かった。

やっと再会出来た。

 

大変な状況を何度も乗り越えて、

また帰って来てくれた。

 

正直なところ、保護者の方との溝はまだ完全には埋まっていない。やはりこちらの方でも大事なことをご理解頂けていない、と言う思いもある。

 

最初の一枚だけは、僕にくっついて、離れずに仕上げた。安心しきって、2枚目からは脇目も振らずに一人で描いた。以前の筆の動きまではまだ戻ってはいないけど、なんと4枚も仕上げた。

セオリー通りならブランクもあるし、今日はそんなに枚数は描かないで行くところだけど、本人の気持ちと、今の状況と、流れを見極めて、進めた。

現場にマニュアルは通用しない。

いつでも人の心と生命の動きを見て、感じ取って、対話していく。

 

それにしても彼こそは、このアトリエを代表する作家だと思う。それは何故か。ここを帰る場所として認識しているから。帰る場所を持っている強さが、危機的な状況の中で最後の最後で、立ち上がれる力となる。

 

長年のストレスの結果、心は萎えてしまっていたから、今回はかなり心配していたし、この状況はまだまだ解決はしていないのだけど、最悪の結果は免れた。そして、今日のような制作が出来たことは、奇跡のようだし、本人の持つポテンシャルと、場の力の素晴らしさを証明している。

 

人を元気に出来てこそ場と言える。

 

帰る場所。

奥深いテーマです。

今お話していることそのままみたいです。


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