母川回帰

ダウン症の人たちのためのプライベートアトリエ、元アトリエ・エレマン・プレザン東京代表、佐久間寛厚のブログです。日々の制作の場で人間の心と創造性の源を見つめています。

お母さん

母川回帰シリーズ、企画側から連絡がありました。

インスタの公式サイトが出来ました。

色んなところでこの企画に関して書いたりしますが、これからは公式サイトで纏めて見られるようにして行くそうです。

よろしくお願いします。

https://instagram.com/bosenkaiki?igshid=g8tvbva63n2v

 

今度の第4回は家とか家族とか、教育とか、そんなテーマです。

「肯定する力」。それが生命力です。

 

昨日のこと、スタッフの稲垣くんから聞いた話。

テレビでやっていたそうですが、僕は見ていないので、違う部分もあるかも知れませんが、大体のこと。

お笑い芸人が食について語ったり、食べ物やお店を紹介する、みたいな番組なのかな。もっと人生と食みたいなことなのでしょう。そこで、その芸人が語ったと言うお母さんの存在、育て方が素晴らしいな、と思いました。貧しかったのか分からないですが、少なくとも生活水準を超えたような、高級料亭とか、レストランに子供を連れて行く訳です。今だけのことでは見てないんですね。将来、仕事もそうだし、人生を共にするパートナーもそうだし、どんな人と出会って付き合って行くか分からない。そう言う時に、こう言う店での振る舞いや、クオリティを知っておくかどうかで、違ってくる。そうやって分不相応であろうと、最高と言われるものがどんなものなのか、経験を与えて行く。その芸人は大人になってからも、仕事で給料が7万円だった時に、7万円の店に入っちゃう訳です。これはもうお母さんの教えですね。そうやって培ったものが、彼の仕事や人生に活きて来る訳ですね。

素晴らしいお母さんです。

こう言うことは、実は表面的なことだけじゃなく、かなり深いことでもあります。

何度か僕もこう言う話はしてきました。

詳しくはまたお話しますが、結局のところはお金が高いか安いか、とかそう言う話では全然なくて、。それより最高のものを知ること、それからそう言うものに価値を認めること。そこへ近づく努力を喜びとすること。本物を知らなければ、本物の人間にはなれない。

 

暫く前に、商店街を歩いていて、

後ろのカップルの会話が楽しそうで気になりました。

高校生くらいの男の子が自信満々で話してて、そこに何の嫌味もないから、聞いてても誰も不快にならない感じで、これは女の子の方の聞き方や触れ方が素晴らしいからだな、と思いました。相づちの入れ方とかも絶妙で、言葉は少ないのに笑い声は絶えない。こんな受け入れ方をされてたら、それは素直な肯定感を持てるだろうな、と感心しました。男の子は素直そのもので失敗した話とか、自分の出来ないこと、駄目なことは認めて、だからこっちのことの方が得意かもと言って笑いました。出来なかったことは、ごめん、駄目だったよ、と素直に言うのですが、女の子の方は、そうするんだぁ、良いんじゃない、とか言うだけで、判断に対しては否定も肯定もしないで、今の考えをただ受け入れて、相手を信頼して任せている感じなので、男の子も安心して次々に浮かんでくることを話し続けていました。否定にたいしても、そんなことはないよ、とかあなたなら出来る、みたいな下手くそな肯定は一切せず、ただ受け入れていて、ここは凄いです。

 

男女関係でここまで出来る人達もいるのか、と。特に女の子が素晴らしいな、と思って、このカップルは理想的な関係が出来てるなぁ、と考えていました。

ちょっとだけ顔を見てみたいな、と思って、振り返ってまたびっくりしました。なんと、女の子と思っていた方は明らかにお母さんだったのです。

今の会話を振り返って、これを親子としてみると、益々感動しました。

 

誰にとっても、まあ、こう言うお母さんだったら最高ですが、ほとんどはそんなことはありません。

こんな親子関係は奇跡でも起きない限り不可能です。にも関わらず、何故こう言う話をするか、です。

大抵の人は子供時代に良くないものを受けています。そして何かが足りていません。でも、これは取り戻すことが出来ます。だからお話しています。

何が必要だったのか知ることが出来たら、取り戻す方法はあるのです。

 

実際に僕は個人的なレベルでお話すると、親の愛も知らず、帰る家も殆ど無く、誰かの責任ではないですが、結果として虐待みたいなこともありました。これ言い方難しいですね。とにかく、過酷な環境で生きて来たことだけは事実です。もっと言えば、いや、はっきり言いましょうか。普通の人間なら耐えられないだろう、生きていられないだろう、と言うレベルの生活もありました。

それでも僕は満たされて、楽しく、幸せに、どんな困難にも怯まず、人への信頼も持ち、生きて来ることが出来ました。それは大切なことを教えてくれた人、与えてくれた人がいたからこそ、です。そして、今度お話するかと思いますが、これにはしっかりとした仕組みがあります。

 

これまで、こう言う話は、しない中でも特にしない話でした。

 

個人的なエピソードをあえて今、取り上げてでも伝えたいことがあります。

人間の元になるものは何か。

子供達に何が必要か。自分が子供の頃に何が必要だったのか。

 

どんなものもベースがあって始めて成り立つのです。

土台が出来ているから強いのです。

人間も全く同じです。

肯定感とは思い込みとは違います。その場しのぎの言葉だけの肯定は心の芯には届きません。

 

母川回帰シリーズ第4回では、こうしたテーマをじっくり深めて行きましょう。

9月16日(月祝)、岩茶房にて開催です。


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