母川回帰

ダウン症の人たちのためのプライベートアトリエ、元アトリエ・エレマン・プレザン東京代表、佐久間寛厚のブログです。日々の制作の場で人間の心と創造性の源を見つめています。

ディスタンス

毎日更新を目標にブログを書いてきました。

毎日と言う形は本日までとします。

それからもう一つ。

ブログ等SNSでの発信を2020年は控えて行く、と言う方針でしたが、今の社会的な状況を考えて、変更したいと思います。

不定期ではありますが、そして、内容的に扱えることは限定的ではありますが、こうしたSNSでの発信は続けます。

 

ここ数日で書いてきたテーマも、後々になっても充分読むことが出来る内容だったかと思います。

 

さて、この数日間、電話での連絡が絶えません。ギリギリの状況の人もいます。

離れた場所から、何とか繋いではいますが。

 

今は世界がパニックですが、これが終わった後のこともしっかり考えておく必要があります。今現在、誰かを守るために、誰かが切り捨てられている、と言うことも、目を向けない訳には行かないことです。

 

更に言うと、新型コロナウイルス以前と以後とでは世界は変わります。多くの方が指摘している、経済や社会システムだけではなく、いや、それよりも遙かに根本的なことは、人間同士の距離が変わります。それは身体的なことより、内面的なことで。

 

断絶は生じました。

それが何を意味しているのか、まだ多くの人は知りません。

 

ソーシャルディスタンスと言う言葉が、出て来ました。英語は全く分からないので、言葉の問題を取り上げるのは気が引ける。

でも、ここでディスタンスと言う言葉が出てきたこと、それは良くないことだと思うが、また現在の本質をも示してしまっている。

今起きていることは、繋がることではなく、断絶だ。一旦生まれた断絶はそうそうは消えない。これからこのダメージを背負って、この世界は動き出す。

 

僕の現場が何なのかまで、ここで書いて行く余裕はない。これまでのものを読んで頂ければと思う。

現場で見てきた経験から言えることは、今起きていることは、人間の文化にとってかなり大きなことだ。

 

昨日、繋がりのことを書いた。

みんな繋がっている、と。多くの場合、そう言った言葉はただの精神論なのだが、僕が言いたいのは、もっと具体的で実感が伴ったことだ。今必要なことは、そう言った世界観の変革でもある。

 

僕らは少なくとも、場を共有してきた人達とは繋がっている。これは経験であり、体感でもある。

 

繋がり方を、これからの社会は考えて行く必要がある。今本当に必要なことは、ディスタンスではなく、距離をどう扱うか、と言うことだ。距離は文化だと言うことが出来る。したがって、文化によっても個人によっても距離は違う。また距離こそが文化であり、個人である、と言い換えることも出来る。

 

現場での僕の仕事は主に、距離や間合いを扱っているので、今世の中で何となく言われているソーシャルディスタンスは無視出来ない。もう一度言おう。断絶ではなく、距離を扱うこと。そして、距離とは何か。距離感と言うものがある。距離感とは一言で言うなら、相手への配慮だ。

 

世界には恐らく動物だけではなく、テリトリーと言うものがある。そして、大事なことはテリトリーは配慮によって守られなければならない。

 

場においては真っ先に、相手のテリトリーを感じとることが大事だ。

感じる力、感性の力、注意力、それらは相手への、世界への配慮から生まれるもの。

 

ディスタンスではなく、繋がるためにこそ、距離と言うものがある。距離を使って、僕らは繋がる。距離を置いたり、距離を縮めたり、距離を埋めたり、それがコミュニケーションだ。マニュアルは断絶をつくる。

 

愛し合うとは、感じ合う、と言うこと。

 

この世界には、実は沢山の違った距離を持つ人達がいる。沢山のテリトリーや、沢山の間合いが存在する。そして、それは個人の中でも日々、瞬間瞬間、変化している。

 

感じて、適切な距離で接する、間合いによって深く繋がる。

距離はディスタンスではなく、配慮として語られ、そして、実践的に言うなら、愛情によって感じ合うもの。

 

僕が10代の頃から現場に立って、出会った多くの人達と深い関係が築けたこと、状況を改善出来たこと、幸せを感じてくれた多くの人がいること、それら全ての仕事は間合いによってなされている。まず始めに相手を感じることだが、相手を感じるとは、その人に独自の距離を掴むことだ。

 

このテーマも、どうしても文章だけでは伝えられない。改めていずれはトークのテーマとしたいと思う。

 

大事なことは、ここでも今やるべきことは繋がることです。

ディスタンスではなく、繋がるための距離を。断絶は残念ながら広がっています。

一人一人に配慮して行きたいですね。

 

僕たちが深く繋がって行くことで世界は変わります。一人一人に固有のテリトリー、距離を尊重すること。場のように、感じ合える世の中にしていきましょう。

 

世界は危機的な状況ですが、これが切っ掛けとなって本当の繋がりが生まれることを願っています。