母川回帰

ダウン症の人たちのためのプライベートアトリエ、元アトリエ・エレマン・プレザン東京代表、佐久間寛厚のブログです。日々の制作の場で人間の心と創造性の源を見つめています。

6冊目


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7日間のブックカバーチャレンジリレー。

6日目です。

 

学びと言うものは人格を通してしか行えないもの。そのことを痛感させられる経験がある。オンライン教育では決定的に駄目だと感じる。人格から直に何かを教えられる真の経験がないことは致命的なこと。

 

読書の大切さを強く思うからこそ、こう言う企画もやっているけれど、本では全く駄目だと思わせられることも大事なこと。

 

10代の頃に酒井得元老師と出会えたことは、決定的なものを僕に残した。

もし、最も影響を受けた存在を1人だけ選べと言われれば、間違い無く得元老師だろう。

初めて生きた人間で全面的に尊敬した存在だった。

 

近くでご一緒出来た頃は、得元老師の晩年だったけれど、強烈な存在だった。会ったら必ず人は何かを感じただろう。

凄い人と言うのは、居るだけで凄いのだ、と実感したもの。

 

語ること、教えることを全て自らの存在で体現していたからこそ、近くにいる人達は真摯に学ぶことが出来た。

 

「おい、のっぽ」と得元老師が呼んで下さる声が今でも思い出される。

ずっとそう呼ばれていた。のっぽ、のっぽと。のっぽ、デクノボウのようで好きなあだ名だ。有り難い。

 

こんな存在になりたいと思った。

足元にも及ばないと思っている。

そこまで尊敬出来る人間に出会えたこと、可愛がって貰えたことは、その後にたった1人でも歩いて行かなければならない道へ進んだ時にも、僕を助けてくれる記憶となった。

 

本には残っていない、存在を通して、人格を通してしか伝わらない、本物の姿を、僕はこれからも決して忘れることは無いだろう。