母川回帰

ダウン症の人たちのためのプライベートアトリエ、元アトリエ・エレマン・プレザン東京代表、佐久間寛厚のブログです。日々の制作の場で人間の心と創造性の源を見つめています。

雨のアトリエ

さて、土曜日の制作だった。

こんな中だけど、せめてここへ来たらみんなゆっくり出来ると良いな。と。

楽しく描いて行ってね。と言う気持ちで迎える。

 

夕方まで3つのクラス。
午前クラスでは作家の変化に気づいたので、しばらく黙って横に座っていたら、「ずっとここにいますから、もう帰りませんから、ご飯出して下さい。お昼になったらお願いします。泊まりますから。もう帰りたくないです。行きたくないです。怖いですから。」と。
かなり弱ってしまっている。保護者の方には状況を説明した。行っている施設でのストレスがかなり大きく、見ていてかわいそうだ。
それにしても、新メンバーだったので、こんなに早く信頼してくれてSOSを伝えてくれたのは、僅かな救いだ。誰にも言えない、何処でも気づかれない、と言うケースが本当にたくさんあるから。
いまだに、失敗してみてから気づけば良い、と言うとんでもない見解の方もいるが、ベストは未然に防ぐことです。その為には安心して伝えられる相手をもっておくこと。素で居られる場所があること。世の中にもっと沢山の心ある人や場所が必要です。
制作はみんな素晴らしかったです。外の世界がまるで嘘みたいに、このアトリエは楽しく平和に輝いています。

 

午後のクラスでは、休みの間に手製のヘルメットやお面を作って変身した作家が登場。

久しぶりのアトリエに本当に喜んでくれていました。料理やお菓子作りの腕も上げたそうで、みんなのためにもって来てくれました。

バスクチーズケーキの餃子の皮バージョン」。とても美味しかったです。

 

夕方のクラスまで少しの時間に、ここ数年かなり調子を崩してしまっている作家と保護者の方と今後のことを話し合ったりと、様々な状況が重なっていますが、みんなの元気な姿と、アトリエに来た嬉しさ全開に立ち合えて、そして作品ももちろん素晴らしくて、今日も良い時間でした。ヘトヘトでしたが、何とか役割を果たすことが出来て、みんなの笑顔が見られてほっとしています。

 

日曜日の制作も良い時間となりますように。


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