母川回帰

ダウン症の人たちのためのプライベートアトリエ、元アトリエ・エレマン・プレザン東京代表、佐久間寛厚のブログです。日々の制作の場で人間の心と創造性の源を見つめています。

ニュースを聞いて

昨日アトリエの途中でニュースが入った。作家の1人が気にしてスマホで調べだしたりしていた。
憶測だけで、知り合いでもない誰かのことを、それも命に関することを、例え名前が出ている人であったとしても、語りたくはない。ただ、僕自身も多くの死に直面してきて、悲しみを通り越したやるせなさ、悔しさ、怒り、不条理を嫌というほど味わってきた。有名人ならば少なくとも、人はしばらくの間は目を向ける。その背景には当然、無数の誰からも目を向けられていない死がある。
これまでどれだけこんなことを目にしてきたのか。聞いてきたのか。これからどれだけ、こんなことを見て行かなければならないのか。悲しい、残念、何故、と思ったり言ったりしても、それだけでは何も変わらない。一体いつまでこんなことが続くのか。いつまでも、しょうがないでほうっておくつもりなのか。このままで良いはずがない。誰にとっても。
ここ数ヶ月、何とかこの世に身を留めながらもギリギリの状況に居る人達の声も聴いてきた。誰が先に逝ってもおかしくはない、と言う状況も見ている。ほとんどは語れないことだけど。だから今まではなるべく言わないで来たけど。
無かったことにしていくのだけは止めましょう。特別な人だけの話ではないのだから。この世界で起きていることなのだから。
何故?と人は原因を探ろうとする。大きな問題を抱えていた、大きな出来事があった、何らかの原因と繋げようとする。でも本当はそれはきっかけ、引き金であったに過ぎない。本人にすら分からないところで、心は萎えて、ボロボロになってしまっている。人を死に追いやっているのは、この腐った世界だ。不条理な死は誰の身に降りかかってもおかしくはない。
絶望感や不信感は、少しづつ、でも確実に人の心を蝕んで行く。
心が、生命が根腐れしていく。最近、正しく恐れる、と言う言葉を良く聞くようになったけど、正しく怒ることも大事なこと。
放置しておいてはいけないこと、こんなに長い間、このままにしてきたのだから。無視してはいけない。見なければいけない。変えなければならない。変える意思を持たなければならない。この世界に居る全ての人が無関係ではあり得ない。

今日も場に立つ。場は生命のやりとり。相手の魂と直接繋がる時間。1人の人間としっかり向き合うこと。
どこで何をしていようと、その場所、その瞬間が、それぞれの人にとっての場なのだと、今こそその自覚が必要。

みんなの笑顔が見られる世界でありますように。その為にこの命を懸けて、今日も全力で動けますように。みんなのことが大好きです。みんなのことを想っています。この世界の本来の素晴らしさを知っています。