母川回帰

ダウン症の人たちのためのプライベートアトリエ、元アトリエ・エレマン・プレザン東京代表、佐久間寛厚のブログです。日々の制作の場で人間の心と創造性の源を見つめています。

改めて言います

ずっと何度も言って来たことですが、分かり易く言うとこう言うことです。障害ばかりではなくて、マイノリティの世界とか文化が存在するわけです。それで、今の社会の中で既にある、既に見えている文化と言うのがあって、それに問題を感じる人や、そこから弾かれて行く人達が沢山います。その一つの世界や、一つの文化だけが正しい訳ではない、ともう多くの人達が感じているのです。そして、ですよ、そうやって見て行った時に、マイノリティの文化とか、色々まだ気づかれていない豊かな世界が、実は無数にあるのです。それなのに、この無数にある別の文化、別の価値と言ったものを、今の社会の既にある文化に当てはめて、そこに合う形に変えてしまって多様性だとか、平等とか言っている、と言うのが今の多くの流れな訳ですね。福祉もそうだし、他の様々な取り込みの多くが実は気づかずに、そう言う領域を見えなくしてしまっています。今の社会での成功とか、勝利が唯一であるかのような努力もしかりです。そう言うのとは違う価値がある、と気づかせてくれることにこそ、それこそ真の価値と言うものです。僕らに必要なのは、こう言う別の豊かな文化や価値を尊重する。守ると言うことと、そう言うものに気がつく人を増やす、そんな切っ掛けを創ることです。今のこの世界の価値や、そこでの評価に媚びる人達の、見て貰いたい、評価して貰いたい、と言う欲求から生まれたものには、やはり魅力や輝きがありません。ずっとプライベートのアトリエをやって来て、ここで生まれる作品に多くの人達が惹かれる理由はなんだろうか?と考えます。作家達の内側から溢れ出る喜びが、そのまま作品に宿っているからです。この色、この線には嘘がありません。見られることを意識したり、評価を気にして描かれていないのです。自ら輝くものこそ美しい。しかし、そんな純度の高いものはこの世の中では僅かです。アトリエの場を僕はいつも奇蹟を前にするように感じてきました。ここで行われていたことを作品を通して、それから言葉を通して、これからも発信して行きたいと思います。