母川回帰

ダウン症の人たちのためのプライベートアトリエ、元アトリエ・エレマン・プレザン東京代表、佐久間寛厚のブログです。日々の制作の場で人間の心と創造性の源を見つめています。

あれから8年

2019年3月11日。東京。雨の朝。

昨夜から土砂降りで、強い風も吹く。

 

さっきから日が射し始めた。

 

東日本大震災から8年。

 

朝からバスを待つ。これから三重へ向かう。

東京アトリエでの10日間。目まぐるしい日々だった。

人の心と向き合う時、答えも終わりも無い。最善へ向かうプロセスに正面から取り組み続けるのみ。

 

昨年の今日、僕はこう書いた。

東日本大震災から7年。一つ一つの場が答えとならなければ」と。

あれから1年。

8年が経った今日も言うことは同じ。

 

そして、振り返って、悔いの無い場であれたか。

1人1人の心に刻まれる時間であったか。

この世界に居ることの幸せを、みんなが感じることのできる時間を創れたか。

その答えも、全て場で見せて来られた、と確信出来る。作家たちに、スタッフ達に、保護者の方達に、応援してくれる沢山の人達に、深く感謝。

 

何度でも言う。場は人間の可能性を示す。

全ての人が輝くためにこそ、ここに居る。

生きてあること、人がいること、この情景に、全身で喜べること。この瞬間が奇跡になること。

それがみんなと共にする場だと思う。

 

僕らはこのアトリエの制作の場所から、全世界と繋がっている。

 

感じ合う。笑い合う。響き合う。

最高の時間を共に創る。

それは全世界へ向けた祈りだ。

人類に向けた平和と調和の可能性。

人間の心の可能性を形にすること。

生命に誠実に向かうこと。

 

僕らは何のためにここにいるのか。

この世界は何故ここにあるのか。

その答えは精一杯、この瞬間を生き、輝かせることにある。場は生きよ、と言っている。今を疎かにするな、と言っている。目の前の人を全身全霊で愛し、大切にせよ、と言っている。

 

目を見開いて、耳を澄ませて、大切に生きよ、と。

僕らには場の声が聞こえる。

その声に答える。力の限り、命ある限り、全力で。

そしてもう一度言わなければならない。一つ一つの場で答えていきます。

 

このような危機に直面している世界で。困難に囲まれた世の中で、一人一人に出来ることは僅かかも知れない。個人では大きな流れには逆らえない。でも、僕達は無力ではない。この場所で、この今、どんな気持ちで生きるのか、一人一人の想いが響き合う。きっと通じる時が来る。諦めてはならない。輝き続け、人を輝かせ続けることに答えがあるはず。

 

昨日、日曜日午後クラスはこの世にある奇跡の一つだったと思う。あれが答えだ。

 

ようやく晴れた東京。

強風の影響で大幅に遅れるバスを待ちながら。

 

2019年3月11日


f:id:skmskm77:20190311100533j:image