母川回帰

ダウン症の人たちのためのプライベートアトリエ、元アトリエ・エレマン・プレザン東京代表、佐久間寛厚のブログです。日々の制作の場で人間の心と創造性の源を見つめています。

リズム

最近つくづく思う。

1+1が2である、と言うそんな問題しか公では殆ど通じないし、言い続けた結果、無視され続けて来た。矛盾と向き合うことや答えのない微細な問題を扱うことは、本当に体力のいることだ。でも、それやらなきゃ、何にもやったことにならないでしょ、と思うわけ。

 

それは兎も角として、人が、命が否定され続け、潰される人、消えて行く人がこんなに居て、こんな暴力が続く社会で、どうやって人への愛を伝えることが出来るのか、と考える。場は一つのヒントだと思う。

場って何かって言えば、当たり前のことだけど、普段人が滅多にしないこと。ただそこに居てお互いを、そして周りのものをじっと感じ合うこと。ひたすらそこだけを深めて行くこと。それだけ。でもそれだけちゃんとやったら、大事なことは全部分かるから。

 

相手を感じること。言葉を越えて相手を見る。それでこそ繋がること。

 

しょっちゅう電話を掛けてくる人がいる。でも、頻繁に電話してくるのは、いつも2、3人でそれ以上重なることはない。数年するとそのメンバーが入れ替わっている。

 

頻繁に電話してくる相手とは、1回1回はとても短い。2、30秒とかだったりするから、言葉としては殆ど話していない。では、そこで何が伝わって来るのか、と言ったら、相手の呼吸な訳です。それは掛けてくる時間だったり、頻度だったり、声の調子であったり、そう言うリズムにこそ、言葉以上に相手を感じることが出来るもの。

一つの生命体のリズムがそこにある。感じ合うことの大切な一つに、相手の固有のリズムと言うものがある。生きている存在にはリズムがある。それが生きて有る証。