宮嶋真一郎の直筆
懐かしい。
先生からの手紙が出てきた。
生前は先生なんて呼んだことはなかったけど。先生は目が見えなかったけど、時々手紙を自分で書いてくれた。
やっぱり先生と言うのはしっくり来ないので、生前のように親方と呼ぶことにする。
記憶と言うのは曖昧なものだ。
この文面を見る限り、この時期の僕は親方とかなりやり取りしている。
そんなことはすっかり忘れていた。
この手紙は珍しく、共働学舎が順調だと親方は言っている。メンバーも増えて行きそうだ、と機嫌も良い。
学舎の状況を伝えながら、最後のところで、「社会に対して知らん顔はしていられない」と書いている。
親方はそう言う人だった。理想郷を作って、そこだけ平和ならよしとはしなかった。
僕に向けた言葉は「大切にするんだよ」と結ばれている。
親方、ありがとう。
「知らん顔はしていられない」、この言葉を胸に刻む。
この話はまたしましょう。