母川回帰

ダウン症の人たちのためのプライベートアトリエ、元アトリエ・エレマン・プレザン東京代表、佐久間寛厚のブログです。日々の制作の場で人間の心と創造性の源を見つめています。

失敗の楽しさ

細々と豆を煎り、たまに販売している珈琲。これも時々お問い合わせがある。

今日も何度か作っていた。

これ失敗したりする。あ、失敗、。と思ってやり直す。

うん。こう言う感覚は何だか新鮮だ。

人の心と対峙する現場において失敗はゆるされない。

仕事においては失敗出来ない、と言う緊張感の中でこんなに長くやってきた。

外見ではそこまでには見えないかも知れない。でも現場は甘くは無い。

外せば命に関わる。げんにそんな場面を沢山見てきた。外科医が失敗出来ないのと同じことだと思っている。若い頃は特になかなか過酷な日々だった。

今日も相談の電話を何度も受けた。作業所の方やケースワーカーの方とも話す。みんな本気が足りない、自分の範囲のことしかしない。逃げ腰。時には言いたくなる。貴方達はこれが仕事でお金も貰っていますよね、って。僕はこれが仕事ではないのですよ、と。現場で人の心をしっかり扱える人材はほとんどいない。それは昔も今も変わらない。

東京で20年やってきて、出来たことも確かに沢山ある。成果も上げて来たし、評価もされた。この影響下に発展した多くのこともある。それでも出来なかったことの方が多い。途轍もなく遠回りだも思ったこともある。もっと偉い人が言えば、もっと早く浸透するのに、と。

一体みんな何処を見てるのだろう、と感じることもあった。

でも、本当のこと、本当の仕事は目立つものとは程遠い。

「やっぱり佐久間が居てくれるとみんなの表情が良い」、先月久しぶりに行った共働学舎で信さんが言ってくれた言葉だ。

嬉しかった。何を大事にしてきたか、何をしようとしているのか、感じ合えること、気づき合えること、同じ現場に立った目線でなければ見えないことがある。

そう言うことに比べるなら、世間の評価なんて虚しいもの。

現場を離れた時には、失敗してもやり直せる趣味であるとか、そんな時間と経験が自分をリラックスさせてくれるな、と。まだまだ果たすべき責任があるけれど。