母川回帰

ダウン症の人たちのためのプライベートアトリエ、元アトリエ・エレマン・プレザン東京代表、佐久間寛厚のブログです。日々の制作の場で人間の心と創造性の源を見つめています。

手紙

私物の整理もかなりやって行かなければと焦りつつも、暑さと来客の合間を縫いながらなので、なかなか進まない、と言うか見た目には全く進んでいない。こんなにゴミを出したのに。手紙類も古いものは殆ど捨てた。離れている仲間たちとは随分文通したなぁ。この数十年ですっかり変わってしまったこと、消えて行ったこと。手紙なのか、電子メールなのか、スピードや気安さ以上に圧倒的に大きなものを僕らは失ってしまった。そして、失ったものはもう戻っては来ない。言葉によって、その言葉に気持ちを、心を乗せて、開いた距離や時間を、何とか越えて、人と人が繋がろうとしていた、そんな時代を僕は決して忘れたくはない。クリスマスに共働学舎のみんなからの寄せ書きが届いていたこともあった。そして、捨てられない手紙が。今は亡きたくみさんからの手紙。たくみさんはプラダーウィリー症候群と言う障害を持っていたけれど、そんな病名を知るのはずっとずっと後になってからのこと。何の知識も無く繋がってしまえば、問題なんてぜんぜん無かった。それが宮嶋真一郎の創った共働学舎だった。もちろん、それが誰にとってもどんな状況にとっても正解だとは思わない。むしろ、多くの人には正しい知識が必要だと思う。ただ、僕にとっては16であの環境に居られたことは、今でも最大の財産だと感じている。

 


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