桜と雪と生と死と
昨日、満開の桜に雪が積もった。
切実に美しい景色だった。
今しかないこの風景。
なんて綺麗なんだろう、と思った。
志摩に帰る予定だったけど、東京に残る決意をした。よしことも相談して。
今、東京アトリエを離れては、もう再開出来なくなるかも知れない、と。
ここで食いしばる。
スタッフ達には待機を伝えた。
制作の現場は僕一人でやる。
少しでも作家達へのリスクを減らすために。
普段は籠もって、ほぼ外出しない。
来客も制限する。
来るまでの移動中は心配だけど、この場所では絶対に感染させない。
色々言いたいこともある。
本当のことがなかなか言えなくなってきてもいる。でも、今月は細やかながら書いて来て、やっぱり沢山の人に読んで貰えた。
改めて、みんな、大丈夫だからね、と伝えたい。
大好きな志村けんさんが亡くなった。
テレビで10代の子が、子供の頃から見ていたと話していた。
政府がコメントした。凄いことだなと思った。
志村けんは芸人であると同時にスーパースターだった。
小池知事の発言には怒りを覚えた。
コロナウイルスの恐ろしさを命をかけて伝えた功績、と言う発言。人の命を何だと思っているのだろう。はっきり言うけど、本当に人を救っているのは政治ではない。
志村さんがどれ程、その仕事で人を笑わせ、夢を与えて来たのか。知らないなら語らないで欲しい。
芸能も、芸術も、人の命を輝かせる。
人間に必要なものだ。
必要なことと、そうでないこと、そんな簡単に分けられるだろうか。
不要不急にしても。不要不急なことなんて本当にあるのかな。
新型コロナウイルスの感染拡大防止のために、もちろん出来る限りのことはしていく。
でも、ここでも有用と無用と言う二分法が強まって、外からの勝手なジャッジや、お互いを監視し合い、対立を生む原因に目を向けなければ、ウイルスより恐ろしい争いに繋がって行くのを感じる。
危機は人の本性を暴く。
色んなことが起きているけれど、きっとこの春は忘れないだろう。
綺麗なものも、綺麗なことも沢山あるし、この世界で、いっぱいの笑顔にも出会える。
今のシステムの限界を、みんな見たのだから、変えて行く方向に、今度こそ向かって行きたいですね。
そして、人類は驕りすぎなのではないか、もう少し謙虚になった方が良いのでは、と思う。この地球で一番のウイルスは人間だと思う。分からないから怖いと言う人も多いけれど、何でも分かろうとすることは驕りだ。命は分からない。生も死も、分からないし、人がコントロール出来るものではない。だからこそ、与えられた日々に感謝して全力で生きることが大切。
満開の桜に雪が積もったこの春、本当に大切なことが何なのか、見つめる時間が多くの人に与えられたのかも知れない。
困難は続く。
そんな世界を今日も僕たちは生きて行く。