母川回帰

ダウン症の人たちのためのプライベートアトリエ、元アトリエ・エレマン・プレザン東京代表、佐久間寛厚のブログです。日々の制作の場で人間の心と創造性の源を見つめています。

生まれ持ったものを

これから午後はお客さん。
今週はこれから毎日の来客。時間帯によっては隙間はありますが。
代々木時代も含めて、この20年でどれだけの方達を迎えて来たことか。この場を必要としているのは作家たち、保護者の方達ばかりではなく、外でこの活動を知り、作品を知り、何かを感じた方や、それぞれの世界で疲れ切ってしまった方、沢山の方がここへ来て、立ち止まり、見直す時間を持つことで、活力を得たり、希望を持ったりして帰って行く。人間には本来的な居場所が必要。何も求められたり、要求されたりしないで、無条件にほっと出来る時間が必要。
そんな場所が少しでもあれば、世の中もっともっと良くなるし、もっとみんな元気になれる。優しくなれる。駆け込み寺としての役目も忘れてはいけないな、と実感している。人が疲れたとき、傷ついた時、休める場所、回復する場所を何処かに創らなければ。
最近、お話を聞いていた方たちをみても、人には生まれや育ちが決定的に重要だけど、それだけではない。一人の人間が生まれ持った何かと言うものがある。それはベースとしては変わらない。その生まれ持ったものこそが個性であって、個性を確立するとかそう言うものではない。そして、多くの場合、個性は否定される。否定されて潰された個性が認められたい、愛されたいともがいている。
生まれたその時からその人はその人。その人を見つける、見出す、認める、そこから生命が輝く。

昨年トークのテーマに「肯定する力」を選んだことがあった。
今の世界の動きを見ていて、再びこのテーマで語る必要を感じている。東京アトリエの場所は11月で終わるけれど、最期まで出来る限りここへ来た人たちが、少しでも生きる活力を持って帰って貰えるようにしたい。


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