母川回帰

ダウン症の人たちのためのプライベートアトリエ、元アトリエ・エレマン・プレザン東京代表、佐久間寛厚のブログです。日々の制作の場で人間の心と創造性の源を見つめています。

雨と風の合間に

今夜は風も無く、今のところ雨も治まっている。

とても静かな夜。

いや音は溢れている。

無数の虫の声が聴こえる。

 

ずっと聴いていた。

虫たちの声を。

なんて豊かで、聴くだけで満ち足りてくることか。

 

多様性などと言う言葉が気安く言われるが、本当のところ実感している人は少ない。

 

この虫たちの声に分け入って、全てを同時に聴いて居るとき、感じる豊かさ深さ、その中にある多様性。

無限の音色。

これが全てだし、これだけで充分だと。

 

夜の深まりの中で、沢山の声が聞こえてくる。

ひたすら折り重なる声たちに身を任せる。

 

場において、感覚を開き、聴く、と言うことがどれほどの重要性をもつことか。

個人の心の中にも幾つもの層が存在していて、それぞれがそれぞれの声で歌っている。

人間の心というものも音楽のように出来ている。

 

多様性と言うのなら、ひたすら聴く訓練が必要だ。

 

この世界に雑音は存在しない。

もし良く聴くなら、全てを聴くなら、それぞれの歌が聴こえてくるはず。どんな声も聞き逃さないなら。

 

心の深みに分け入る時、全ての声を聴いて行く。

良いとか、悪いとかを超えて。

 

場は無数の生を同時に生きること。

これは何度も書いてきたように。

 

本当のところに辿り着くためには、本当の世界に気づくためには、どんなに小さな僅かな声をも聞き逃してはならない。それら全てが歌っている。それぞれの歌を同時に聴くこと。

その時、この世界は本当に美しい。

何が良く、何が悪い、と言うことではなく。

本当に全てが。

 

場を通して僕らの学んで来たことは、これに尽きる。

 

今年も梅シロップを作った。

上手く出来た。去年も良かったけど、今年はまた種類が違う。そして、もう一段を仕込み中。


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