雨と風の合間に
今夜は風も無く、今のところ雨も治まっている。
とても静かな夜。
いや音は溢れている。
無数の虫の声が聴こえる。
ずっと聴いていた。
虫たちの声を。
なんて豊かで、聴くだけで満ち足りてくることか。
多様性などと言う言葉が気安く言われるが、本当のところ実感している人は少ない。
この虫たちの声に分け入って、全てを同時に聴いて居るとき、感じる豊かさ深さ、その中にある多様性。
無限の音色。
これが全てだし、これだけで充分だと。
夜の深まりの中で、沢山の声が聞こえてくる。
ひたすら折り重なる声たちに身を任せる。
場において、感覚を開き、聴く、と言うことがどれほどの重要性をもつことか。
個人の心の中にも幾つもの層が存在していて、それぞれがそれぞれの声で歌っている。
人間の心というものも音楽のように出来ている。
多様性と言うのなら、ひたすら聴く訓練が必要だ。
この世界に雑音は存在しない。
もし良く聴くなら、全てを聴くなら、それぞれの歌が聴こえてくるはず。どんな声も聞き逃さないなら。
心の深みに分け入る時、全ての声を聴いて行く。
良いとか、悪いとかを超えて。
場は無数の生を同時に生きること。
これは何度も書いてきたように。
本当のところに辿り着くためには、本当の世界に気づくためには、どんなに小さな僅かな声をも聞き逃してはならない。それら全てが歌っている。それぞれの歌を同時に聴くこと。
その時、この世界は本当に美しい。
何が良く、何が悪い、と言うことではなく。
本当に全てが。
場を通して僕らの学んで来たことは、これに尽きる。
今年も梅シロップを作った。
上手く出来た。去年も良かったけど、今年はまた種類が違う。そして、もう一段を仕込み中。