母川回帰

ダウン症の人たちのためのプライベートアトリエ、元アトリエ・エレマン・プレザン東京代表、佐久間寛厚のブログです。日々の制作の場で人間の心と創造性の源を見つめています。

受容する力

あーー、もう明後日です。

葉山でのトークイベントを行います。

明後日の土曜日ですよー。

 

これだけ纏めて本格的にお話する機会も珍しいので、ピンと来た方はぜひお越し下さい。

行事シーズンでもあり、朝の早い時間でもあり、多くの方には場所も少し遠いでしょう。それでも参加して下さる方々に感謝しております。ご予約、本当にありがとうございます。

 

よく聞かれます。どんな話になるのでしょうか。

自分でも楽しみなところです。

良くある話、良く聞く話はしませんよ。

綺麗事は嫌いです。綺麗なものは好きだけど。

言っていて、聴いていて気持ち良いだけで事態は何も変わらない話をしてもしょうがないですから。

 

これまで殆ど大事なことは書いています。

それ以上の何かがあるわけではないです。

でも、本当に知って貰うには、心の芯に入れて頂くには、どうしても直接お会いしてのセッションのようなことが必要です。それがなければ情報や知識ばかりで体験になりません。

 

まず、ダウン症の人たちの生きている世界を、お話するでしょう。その豊かな感性と文化を。穏やかでかつ鋭い感覚を。調和するセンスを。それらが、人類にとってどんな意味を持つのかを。人間誰しもが心の深くに持っている理想としての普遍的在り方を。自発的創造性と美と生命の関係について。

 

そして、彼らばかりでなく、全ての人の本質を引き出す環境としての場の話を。場に立ってしか見えてこない透明な景色を。人間の元をどう育てるのか。心の成り立ちとして、描写することとなぞること、教育、家庭なども描写の観点から見てみる。心に栄養を与えて強くしなやかな生命力を育むこと。

 

そんな流れに触れて行くことになるかも知れない。

 

今回来られない人達も多くいると思うので、少しだけ最近特に思うテーマを。

それは受容と言うこと。人間の受容する力の素晴らしさ。受け入れること、許すことの力。

人って怖い存在です。誰もが。人は1度でも言われたこと、されたことを忘れる事は無いです。これが一人一人の人間と向き合ってきた実感です。忘れたと思っていても覚えていて、物の見方を歪めたりします。

そうやって限界が生まれて行く。ただ凄いなと思うのはその限界を乗り越えて行く人達を見ているとき。先へ進む生命力に向き合うとき。人は自由になり、輝き、生命力に溢れて動き出します。そのきっかけになるのが、許す力です。自分を許し、他人を許し、物事を許し、受け入れて行った時に、人は活き活きと世界へ向かって行きます。そんな人達を沢山見てきたし、そんな場面に何度も出会って来ました。危惧するのは現代のように、人が被害者である立場に立って居る方が有利にしてしまう社会。被害者を擁護するのは良いけど、ずっと被害者で居続けさせようとする力。そんな不健康な足の引っ張り合いからは、許す機会が奪われ、許し、受容するという大切な力が失われてしまいます。確かに僕たちは何らかの被害を受けているし、その意味で何かの被害者であるわけです。でも、一方では何かの加害者でもあり得ることを忘れてはいけない。そして、人は変化する力を持っている、と言うこと。受け入れて、次の場所へ向かって行けるだけの力を持っている、と言うことを知ることで、人間の可能性への信頼がうまれます。

 

これからも生命力を引き出すもの。そして、人間の心の可能性が伝わるような、企画をやって行きたいし、そう言うイベントでありたいし、展覧会でありたいし、そして日々の制作の場が最もそのことを証明していなければ、と思うこの頃です。


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