母川回帰

ダウン症の人たちのためのプライベートアトリエ、元アトリエ・エレマン・プレザン東京代表、佐久間寛厚のブログです。日々の制作の場で人間の心と創造性の源を見つめています。

心から

さて、明日金曜日は午前と午後にお一人づつの来客。
今週は沢山の人に会ったし、電話でも対応した。
特にお子様がダウンを持つ方、それもまだ年齢の低い方が多かった。この時期にお伝えしておくことはとても重要だと考えている。
実際に何人もの方に、あの時お話を聞いておいて本当に良かったです、と感謝の言葉を頂く。ここ数日、お会いした方々の場合も同じ。じっくりお話すると大体の場合はお母様の見解は僕と同じ。子供のことは感じている、気づいている。でも違う意見が多く、外で色んなことを言われたり、焦らされたりしているうちに、どうしたら良いのか分からなくなる。お母さんは追い詰められているし、抱え込んでいるケースが多い。世の中や専門家と言われる人達は往々にしてそこに理解を示すことも、寄り添うこともしない。子供を見ていてこうじゃないかな、こうしてあげたいな、と母親が本能で感じていることは大体正しい。それで良いです。そうしてあげて下さい。と確信を持って後押し出来る人が必要。お母さんの不安は子供の不安になる。お母さんの自信は子供の自信となる。お母様達には早い段階からダウン症を持つ人達の素晴らしさや、可能性を知って貰う。愛情を吸収して育つ、この今の時期を大切にして行くこと、急がないこと、無理をさせないこと、周りに惑わされないこと、自信を持って笑っていることが、そのまま子供の心の健康と、自然な成長に繋がる。その為にはお母さんが孤独にならないように、支えて行くことが必要。そんなことをヒシヒシと感じる日々。
ここでは書けないけれど、酷い話を良く聞く。世の中の理解はまだまだ遠いと自覚する。僕が経験から一人一人の素晴らしさ、そのままで良い、そのままで価値ある宝物のような存在だとお話すると、安心しました、ほっとしましたと涙を流す方も多くいる。
これは僕達の仕事でもそうだけど、先を考えても仕方ないし、先のことのために今を疎かにしてはいけない。今の時間を、目の前のかけがえのない存在に対して、一緒になってどう生きていたいか、それに尽きる。楽しかった経験、愛された記憶が全て栄養となって永久にその人の中に残るのだから。親子関係だけではない。この世界に生まれて、いつかは消えて行かなければならない、この時間の中で目の前の人に何を残して行きたいか。残るのは物でもお金でも技術でも無い、まして地位や名声などであろう筈が無い。残るのは豊かな経験、笑い合った幸せな記憶。それこそが人間を創る。それこそが消えずに残る本当の財産なのだから。


f:id:skmskm77:20200910200721j:image