母川回帰

ダウン症の人たちのためのプライベートアトリエ、元アトリエ・エレマン・プレザン東京代表、佐久間寛厚のブログです。日々の制作の場で人間の心と創造性の源を見つめています。

みんなで創る場所

書かないでおこうかな、と思ったけど正直に書きます。ここ数ヶ月、かなり負荷のかかる場をやって来ました。無理してでもほっておけない人達がいました。

 

絵を描く場所にそこまでのことが求められるのか、ここまでやっても理解されていないのに、と言う想いも本音で言うなら無いわけではありません。

 

元気いっぱいとは言わなくても、健康な状態で来て貰って、そこから気持ち良く、楽しい時間を過ごして貰う。生命力アップして帰ってもらう。本来はそれが理想なのです。健康で元気であれば何もしなくて良い訳ではないし、こちらもやってあげられることは実は沢山あります。でもなかなかそんな理想的な作業はさせて貰えないのが現状。今の社会の中では様々な問題があって、それは仕方ないことなので、現場は少しでもみんなが自分のリズムを取り戻せる時間でありたい、と考えています。

 

アトリエにはかなり重い状態で来る人もいます。ここまで来るのもやっと、と言う人もいます。状況はそれぞれです。制作の時間が終わる頃には、みんな元気になっています。そこまで行けなかったとしても、少しは改善されています。しんどさが無くなるまではなかなか難しいですが、半分くらいになっている人もいるし、良い時だったらすっかり元気になることさえあります。スタッフとしてもそこまでもって行くことは並大抵のことではないのです。

それでもこれはきっかけに過ぎないことを、ご理解頂きたいのです。ベースは日常の中にあります。

 

先日のこと、長年の無理が原因で心のバランスを崩してしまっている作家が2時間で、笑顔いっぱいになり、作品も素晴らしかったです。来たときと全く表情も変わりました。帰りがけに保護者の方が「もう元気になりましたか?また××を始めようと思っています。」と仰りました。悪くなるきっかけの一つだったことで、もうやめましょうと約束したことでした。仕事ではないです。しなくても日常困るものでもないです。

言葉を失いました。その後やや厳しくお話してしまいました。言い過ぎたかな、と言う反省もありますが、親しき仲にも礼儀あり、です。

 

お互いに敬意を持たないと場は成立しません。

 

人にもよります。でも、目に見えないけど、かなり怪我の酷い人もいるのです。例えて言うなら骨折して来て、ギブスして帰るのです。その時は来た状態よりかなり良く見えるでしょうが、運動して良いはずはないです。その状態を日常で少しでも保てるようにしてあげたい、と思っています。

 

今後ももちろん、制作の場は良質の時間であれるように、いつでも心血を注ぐことに変わりありません。

 

ただ、全体的にも日程変更、時間等、ややルーズになっている部分も感じています。

今一度、大切なものを、想う意識を共有していきたいと思います。ご理解、ご協力のほど、よろしくお願い致します。

 

金曜日の夜、絵の具の準備をして、先週制作された作品を見ていると、感動が止まらなくなりました。本当に凄い作品が沢山ありました。そして、みんなの笑顔が何度も何度も頭を過ぎって行きました。かけがえのない時間。大切にしていきたいものです。


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